日本成人矯正歯科学会

第31回春季学会セミナー 抄録

花岡矯正歯科クリニック 花岡 宏
タイトル:矯正歯科臨床における骨性癒着(アンキローシス)への臨床的指針

1988年に矯正患者の骨性癒着を経験し、骨性癒着の存在が矯正治療を難しいものにすることを知りました。骨性癒着の発現頻度は極めて少ないために、矯正歯科医が経験することも少なく、見逃すこともあると思います。 治療計画立案時に骨性癒着を見逃せば重大な局面に立つ可能性があります。特に抜歯症例の場合は極めて深刻となります。

当院では1954症例中17症例、31歯に骨性癒着歯を認識し、それぞれの状況に合わせて矯正歯科治療的対応を行いました。それらの症例に対して、骨性癒着に関しての検討を行い、次のような考えに達しましたので皆さんにお伝えしたいと思います。

1.骨性癒着の発現頻度は小さいが、存在した場合は矯正歯科治療する上で非常に重大な問題であることを認識し、診断時や治療途中での早期発見に努めることが重要である。
2.骨性癒着への対応の選択肢は限られており、骨性癒着の程度・不正咬合(抜歯非抜歯・移動の必要性)・成長段階などが関与している。

講演では下記の順でお話します。

Ⅰ はじめに、
Ⅱ 症例提示:
  A:骨性癒着の認識が遅れた症例(4症例)
  B:骨性癒着を初診時に認識し対処できた症例1(抜歯した3症例)
  C:骨性癒着を初診時に認識し対処できた症例2(脱臼・移動した2症例)
  D:骨性癒着を早期に認識したが対処できなかった症例(3症例)、
Ⅲ 骨性癒着について A:発現頻度、B:癒着の原因、 C:癒着の状態、D:癒着の進行、
Ⅳ 骨性癒着の認識 A:骨性癒着を認識した時期ときっかけ、B:骨性癒着の認識が遅れた場合、C:骨性癒着を認識する方法の評価
Ⅴ 骨性癒着への対応 A:骨性癒着への治療法(文献)、B:骨性癒着への対応と結果(当院の症例)、C:脱臼・移動についての私の評価
Ⅵ 臨床的指針 A:骨性癒着を理解することの重要性、B:骨性癒着を認識することの重要性、C:骨性癒着を早期に認識するためには、D:臨床的対応を決定する要因、E:骨性癒着への対応、F:治療計画の立案
Ⅶ 最後に

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