高橋歯科矯正歯科 高橋正光
タイトル：歯科矯正用アンカースクリューを用いたガミースマイル症例に対する攻略法
近年、一般の方々の口腔への関心が高まるにつれて、ガミースマイルに対する改善の要求も多く認められるようになってきた。
一般的に矯正治療によって改善される不正咬合は近遠心的な問題（上顎前突や下顎前突など）、垂直的な問題（Open
biteなど）、水平的な問題（咬合平面の水平的な傾斜やAsymmetryなど）に分類することができる（当然のことながら、これらの不正は相互関係状
態にある）。ガミースマイルは前歯部における垂直的な問題として考えることができる。
従来より、ガミースマイルを改善させるための矯正的なアプローチとしてはHigh pull J-hook type
head gearや２X4
mechanicsの使用などが行われてきたが、最近では歯科矯正用アンカースクリューを応用することにより、予知的・確実に改善することが可能となって
きた。
歯科矯正用アンカースクリューの応用は患者の協力性に依存することなく、特殊なWire
bending等も必要としないため、比較的に臨床医にとって導入しやすいといえる。しかし、その使用に関しては生力学的な背景に基づいて行うことが望ま
しく、また、効率的であるといえる。前歯部の歯科矯正用アンカースクリューは単純に前歯部の圧下力の固定源となるだけではな
く、Torque
controllerとして働くことについても考慮しなければならず、そのためには歯科矯正用アンカースクリューの生力学的様相について理解し、実際の使
用方法について考察する必要がある。
前歯部におけるトルクのコントロールは歯科矯正学上、大きな課題の1つではあるが、歯科矯正用アンカースクリューは前述の
通りにTorque
controllerとして働くことにより、これを応用すればその多くにガミースマイルが認められ、難症例となりやすいClass
Ⅱ div.2の治療も効率的に行うことが可能である。
本講演においてはガミースマイルの定義、原因、および対処方法、予後等について申し上げたうえで、歯科矯正用アンカースク
リューの生力学と、それに基づいた植立位置や方法の選択について話させていただく予定である。また、併せて前歯部のトルクコ
ントロールにおける歯科矯正用アンカースクリューの臨床応用方法についても私見を述べさせていただく所存である。