日本成人矯正歯科学会

第29回秋季学会セミナー 抄録

埼玉医科大学  歯科・口腔外科准教授 伊藤 耕

タイトル:ガミースマイル症例に対する攻略法 ~外科的なアプローチの実際~


歯科矯正治療を受ける患者の大きな目的として、審美的な要求が占める割合は大きい。顔面骨格のバランスが比較的正常に近い場 合は歯列矯正のみで対応できるが、近年ではTemporary anchorage devices (TADs)の使用により治療の範囲は拡大している。スマイル時の口元の評価は、患者主観が大きく影響するため、治療ゴールの設定に難渋することが多いか もしれない。特に、フルスマイル時に上顎歯肉が過度に露出する、いわゆる「ガミースマイル」を呈する患者は骨格の異常を有し ていることが多く、顎矯正手術の適応を考慮しなければならない。顎矯正手術の施術は決して容易ではなく、術後の合併症などを 考慮すると、慎重な対応が必要となるため、患者に対してのインフォームドコンセントとして手術の利点と欠点を説明しなければ ならない。そのためには、矯正医、口腔外科医の互いの治療の特色を理解することが望ましく、患者、術者ともに治療ゴールへ向 かうことが肝要と言えよう。本セミナーでは、ガミースマイルを呈する原因を列挙し、口腔外科的なアプローチとして、どのよう な治療法があるのかを紹介するとともに、術式や適応、および解剖学的な構造も含めて紹介したい。本講が先生方の日常臨床の一 助になれば幸いである。

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